のぼうの名言。

和田竜『のぼうの城』を読んでいる。

ベストセラーになった時代小説。時は戦国、武州・忍城（おしじょう）をめぐる戦いが舞台だ。ひさしぶりの歴史ものなので、読めない人名地名に戸惑いつつ、やや説明的な前半を読み進むと、ある一節にあたった。

強き者が強きを呼んで果てしなく強さを増していく一方で、弱き者は際限なく虐げられ、踏みつけにされ、一片の誇りを持つことさえも許されない。小才のきく者だけがくるくると回る頭でうまく立ち回り、人がましい顔で幅をきかす。ならば無能で、人が良く、愚直なだけが取り柄の者は。踏み台となったまま死ねというのか。「それが世の習いと申すなら、このわしは許さん」
— 成田長親

しびれた。。。

歴史小説は、現代的テーマをもって書かれたものだという当たり前のことに気づかされた。というより、首根っこつかまれたよ！ 最高！

このセリフは強者だけど、長親という主人公はむしろ、木偶（でく）。のぼう様と家臣はおろか、領民からも面とむかって呼ばれるような人物像だ。

そんな、のぼう様から吐かれるパンチラインだから、余計にたまらない。

時代は、そして僕らは新しいリーダーを求めてる。そのひとり、成田長親の戦いをじっくり読ませてもらうつもりだ。

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