ドラムは心臓が刻む音だろ? それで、ベースが頭脳(ブレイン)だ。
このふたつが揃って完璧になる。ハートと思考がひとつの世界を作り出すんだ。 LEE "SCRATCH"PERRY―

Sep 2, 2010

ハンス・コパー展


今週末で終わるハンス・コパー展に行ってきた。ハンス・コパーはイギリスの陶芸家で、ルーシー・リーの工房でその才能を開花した人だそうだ。ルーシー・リー展は楽しみにしていて、永田町エスカレーターのポスターを動画撮影までしたのに、タイミングを逃して行きそびれてしまった。今度こそっ、と行ってみたら、大当たり! ものすごく好み。印刷されたもので見てきたルーシー・リーの作品より、断然好きだと思った。

ルーシー・リー
ルーシー・リーの作品の一部は、ろくろをハンスが担当していたそうだ。彼女の作品の魅力は色彩の美しさと、危ういほど繊細で、ある種不安定なフォルムにあると個人的に思っていた。そのフォルム部分を担っていたというハンス個人の作品は、むしろ安定感があり、研ぎ澄まされた繊細さにあふれていた。


ロンドンという世界都市で生まれたモダンな作品という趣旨の文が、展覧会入り口の序文にあったけれど、僕の感想は違う。彼の作品は、むしろ「土器」のようなプリミティブさがあって、フォルムの緻密さからは信仰心さえ想像される。ろくろで成形したパーツをいくつか組み合わせた作品は、前方後円墳から出土した土器や、大陸から贈られた青銅器みたいなイメージ。もっとシンプルで洗練されてはいるけれど、神経質ささえ感じるフォルムに、表面のざらと粗い風合いが原始的な表情を与えている。上部は平面的で直線性が目立つ筒で、ボトムはぽってりとした球状だったりする複雑な姿からは、折り鶴が連想された。

いちばん印象的だったのが、パーツが組み合わされた「くびれ」の部分の深遠さ。黒い釉薬で引き締められたその部分は、上下のパーツをつなげるというよりも、そのふたつを完全に隔てる役割が与えられているように見えた。「無」であったり、「浮遊する上部の影」であったり、いろんな解釈ができるように思えた。




結局、いつもよりも少し長めのエントリになった。そこまで勧めるなら、もっと早く書け!と自分つっこみ。ぜひ、見に行っていただきたいけれど、会期は今度の日曜日、9月5日まで。今週末は汐留でハンスと握手っ!

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