ドラムは心臓が刻む音だろ? それで、ベースが頭脳(ブレイン)だ。
このふたつが揃って完璧になる。ハートと思考がひとつの世界を作り出すんだ。 LEE "SCRATCH"PERRY―

Feb 11, 2011

丹下段平すぎる香川照之

ひさしぶりにゆったりした気分でテレビをぼーっと見ていると、映画「あしたのジョー」の宣伝番組がやってました。丹下段平役が香川照之ということで、気になってたんですよ。もはや役作りというより、本人出演ですよね、これw?
すごいのは、これだけのメーキャップをしてもお笑いにならず、生身のボクシングトレーナーとして演じられること。今、日本で最も欠かせない俳優のひとり。さすがです。

そのテレビでやってたのが、香川さんが無類のボクシング好きであること。監督がOK出したシーンでも、「山P、ちょっと倒れかたがリアルじゃなかった。もう一回いってみよう!」とダメ出ししていたとかw。そういえば、以前、雑誌でそんな記事見たなーと、本棚から『流行通信 July.2000_vol.444』を引っ張り出してきた。

「明日のジョー、ありがとう。」という見出し! なんてタイムリーな! でも、なんで漢字で「明日」なんだろうか。ただ、見出しの全文はこうだ。

明日のジョー、ありがとう。君の強烈なイメージが、
ボクシングの本質から我々を随分と遠くしてくれた。

どういうこと? ボクシング好きなら「あしたのジョー」をDISるなんてことないんじゃないの?と思ったけど、原稿を読んで疑問が晴れた。

一見、拳で殴り合うだけのこの野蛮なスポーツの中心には、まずルールがあり、慎重さがあり、警戒があり、恐怖が支配するサンクチュアリがある。その大いなる警戒の雲の上で、互いがカウンター、ダッキング、フェイント、技術のすべてを交換し合う。いかにベストパンチを喰わないか。だから、警戒し合って凡戦になるスーパーファイトが山積みになってくる。そこがまた良いのだ。いつも花火が散るギリギリの殴り合いなんてウソくさい。

筋金入りのボクシング好きなことが伝わってくる愛のある文章。「あしたのジョー」があまりに偉大な作品で、影響力が強すぎることで、数多くあるボクシングの魅力が「ノックアウト」「根性のド突き合い」に限定されてしまったことを、ひとりの熱狂的ファンとして嘆いているのだ。

それにしても、この原稿、美しくないですか? 香川さんの文才の豊かさに驚きました。ボクシング・マガジン誌で連載を持っていたというのも納得。と、このブログを書くために検索していたら、映画の封切りに合わせて、こんな著書を見つけました。

表紙が丹下段平なのはご愛嬌。宣伝とか売れ行きとか、いろいろあるんです、大人ですから。この本も、映画とともにぜひチェックしてみようと思います。

P.S.
ちなみに、よく先輩たちとやるギャグに「力石」というのがあります。お互い「いやあ、いやあどうも〜」と握手すると見せかけて、手をすれ違わせて、ふたり一緒に「リキイシ」っていう。くっだらなくて、大好きです。リキイシ。

参考資料(1:20すぎ)

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