すごいのは、これだけのメーキャップをしてもお笑いにならず、生身のボクシングトレーナーとして演じられること。今、日本で最も欠かせない俳優のひとり。さすがです。
そのテレビでやってたのが、香川さんが無類のボクシング好きであること。監督がOK出したシーンでも、「山P、ちょっと倒れかたがリアルじゃなかった。もう一回いってみよう!」とダメ出ししていたとかw。そういえば、以前、雑誌でそんな記事見たなーと、本棚から『流行通信 July.2000_vol.444』を引っ張り出してきた。
「明日のジョー、ありがとう。」という見出し! なんてタイムリーな! でも、なんで漢字で「明日」なんだろうか。ただ、見出しの全文はこうだ。
明日のジョー、ありがとう。君の強烈なイメージが、
ボクシングの本質から我々を随分と遠くしてくれた。
どういうこと? ボクシング好きなら「あしたのジョー」をDISるなんてことないんじゃないの?と思ったけど、原稿を読んで疑問が晴れた。
一見、拳で殴り合うだけのこの野蛮なスポーツの中心には、まずルールがあり、慎重さがあり、警戒があり、恐怖が支配するサンクチュアリがある。その大いなる警戒の雲の上で、互いがカウンター、ダッキング、フェイント、技術のすべてを交換し合う。いかにベストパンチを喰わないか。だから、警戒し合って凡戦になるスーパーファイトが山積みになってくる。そこがまた良いのだ。いつも花火が散るギリギリの殴り合いなんてウソくさい。
筋金入りのボクシング好きなことが伝わってくる愛のある文章。「あしたのジョー」があまりに偉大な作品で、影響力が強すぎることで、数多くあるボクシングの魅力が「ノックアウト」「根性のド突き合い」に限定されてしまったことを、ひとりの熱狂的ファンとして嘆いているのだ。
それにしても、この原稿、美しくないですか? 香川さんの文才の豊かさに驚きました。ボクシング・マガジン誌で連載を持っていたというのも納得。と、このブログを書くために検索していたら、映画の封切りに合わせて、こんな著書を見つけました。
表紙が丹下段平なのはご愛嬌。宣伝とか売れ行きとか、いろいろあるんです、大人ですから。この本も、映画とともにぜひチェックしてみようと思います。
P.S.
ちなみに、よく先輩たちとやるギャグに「力石」というのがあります。お互い「いやあ、いやあどうも〜」と握手すると見せかけて、手をすれ違わせて、ふたり一緒に「リキイシ」っていう。くっだらなくて、大好きです。リキイシ。
参考資料(1:20すぎ)
No comments:
Post a Comment