ドラムは心臓が刻む音だろ? それで、ベースが頭脳(ブレイン)だ。
このふたつが揃って完璧になる。ハートと思考がひとつの世界を作り出すんだ。 LEE "SCRATCH"PERRY―

Feb 3, 2012

磯崎新の仕事術


昨日のアメトーークが「読書好き芸人」だったからではないが、僕のなかではひさしぶりの読書モードに入っている。ちょうど読み終わったのが、『磯崎新の仕事術』。これが、おもしろかった。いわゆるマニュアル的な「仕事術」ではなく、雑誌への寄稿やインタヴューを集め、建築家・磯崎新の発想や思考法を明らかにしていった本。パンチラインだらけの名言集といえるほど刺激的だった。いくつかメモをしたところを書き出してみる。

先入観があると失敗する
設計図が白紙のときは
こちらの内部も空白にしておこう
最初の手がかりは
必要な容量を敷地におさめることでつかみうる
何ものかが立ちあがるだろう

複雑な構造体でさえ
実は
たったひとつのアイディアが支えている
しかもそれは細部の
一箇所の解放に集約される


もっとも考えされられたのが、このセンテンス。

日本史を見ると、外来文化の輸入、模倣と洗練を通じた外来文化の「土着化」、輸入した創造的衝撃を消費することによって生じる不可避の動乱、そして新しい刺激を求めて外部世界に対し最開港していく、というサイクルが到来しています

この「輸入→土着化(和様化)→外圧・内乱→輸入…」というサイクルについては、終章「日本という形」でさらに詳しく書かれている。とくに元冠、キリスト教の渡来という外圧のときに、源平の合戦、戦国時代といった内乱が起こったことを例に、一方で輸入した文化を和様化して発展させた「日本的なるもの」の誕生を示したあたりが痛快!だった。たしかにその内乱の後に、女流文学でオリジナル文字・ひらがなを使った『源氏物語』が生まれ、枯山水に代表される「禅思想」が確立されている。細かいところの矛盾はさておき、考えの壮大さと新鮮さに圧倒された。ワクワクするほどおもしろい。

この磯崎新の日本サイクル説にならって、21世紀の日本を、そして自分の仕事を考えてみたらどうなるだろう。足元ばかりでなく、こういうマクロな視点をときに持つことの大切さをあらためて感じた。

No comments:

Post a Comment

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...