ドラムは心臓が刻む音だろ? それで、ベースが頭脳(ブレイン)だ。
このふたつが揃って完璧になる。ハートと思考がひとつの世界を作り出すんだ。 LEE "SCRATCH"PERRY―

Mar 8, 2010

カメのリズムで見据えるウサギの歩みの到達点。


岐阜は多治見にあるギャルリ百草で開かれる展覧会の案内が届いた。百草は、陶芸家にして現代美術家の安藤雅信さんのギャラリー。展覧会のたびに、案内状に同氏撮影による作品のポストカードが添えられてお送りいただいている。ご覧の通りのたたずまい。美しい。

いつも案内状に書かれている安藤さんの原稿を読むのを楽しみにしている。なぜ、いま、この作家の展示をするのか。ある意味、安藤さんのキュレーターとしての声明であるし評論だ。

今回は、内田鋼一展。アート界からの評価も高く、個展初日にはその器を手に入れようと行列ができる人気の陶芸家だ。その内田さんを評した「ウサギとカメ」と題された原稿が素晴らしかった。内田作品の魅力は、彼の軸足がいわゆる「陶芸」や「西洋芸術」にあるのではなく、有史以来、人類とともにあった「焼き物」にあり、そこから造形も技術もインスパイアされているところにあるという。タイトルにつながる原稿をここに引用する。

1万年は続く日本の焼き物史に百数十年前割り込み乗車してきた近代と西洋美術に、カメとウサギの駆けっこが重なって見えた。あの話は単にウサギの慢心と油断をいさめているだけでなく、カメに勝つという目先の競争だけにとらわれず、遠い先のゴールをカメのように見なさいと言っているように思う。内田氏の歩みはまさにそれであろう。(略)カメとはいえ、1万年の焼き物史を、今のところ未だ40才の身で横断しようとしている内田氏の足は、かなり早いと言える。


同じジャンルで表現をしている作家に対しての最大級の賛辞であるし、最上級の評価だと思った。

3月21日には内田さんとともに多治見の陶土の採掘場所へのツアーもあるそうだ(要予約)。本当に伺えないのが残念。そう後悔させられるだけの力強い原稿だった。

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